日経の記事です。
有料版の方は記事を直接ご覧ください。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32607510U8A700C1EE9000/
内容としては、
金融庁が銀行に対して
投信保有者の損益状況について調査した。
その結果、投信を保有している投資家の
約半数が損失を抱えているということが分かった。
その要因としては短期の回転売買によってコストがかさんでいること
そして、毎月分配などへの投資で分配金を出しすぎているため
運用効率が悪くなっていることが考えられる。
ということです。
また、信託報酬は低いに越したことはないわけですが、
記事の中では
「信託報酬の高さが、運用収益とは必ずしも結びつかないこともわかった」
と書かれています。
この相場の中で損失を抱えているっていうのはどういうことなんだろう?
と個人的に思ったわけです。
記事の中でもここ数年マーケットの環境が良かったにもかかわらず
損失を抱えている
ということが非常に問題だということが書かれています。
で、この調査のポイントを改めて考えてみたいと思います。
まず、調査は18年3月末時点。
都銀地銀29行が対象です。
損益には支払われた分配金や購入時手数料も加味するとされています。
いわゆるトータルリターンを見るということですね。
で、その結果下のような結果が得られています。(日経HPより)
で、この調査結果から
短期の回転売買による手数料の増加や
毎月分配による効率悪化
が損失の原因であるという結論に至っています。
また、先ほどの「信託報酬の高さが、運用収益とは必ずしも結びつかないこともわかった」
という結論もでました。
要因は本当にそれだけなのでしょうか?
下の図をご覧ください。
2018年3月末はちょうど米国のVIXショックにより
株式市場が大きく下落している最中でした。
先程見ました投信の平均保有期間と運用損益率が+の顧客割合のグラフが
1~5年という期間で区切られていたので
その中央値である3年間という期間で見てみますと。
NYダウはさすがに大きくプラスになっていますが、
ドル円では大きく円高に動いています。
米国株に投資する場合
当然ドル円の為替も影響しますので為替の動向が重しになっています。
また、日経平均も思ったほどの上昇率ではありません。
さらにドイツDAX指数ではわずかにプラスなだけという形です。
18年3月末というタイミングの悪さが要因だったのではないか?
と考えることもできるのではないでしょうか。
少なくとも要因の一つではあると思います。
また、いつもの毎月分配への批判ですが、
運用効率が悪いのはしょうがないとして
もう少し深く考えてみたいと思います。
ここ数年の毎月分配ファンドの代表格は
「海外REITファンド」でした。
米国や世界のリートに投資し高い分配金を得るというものが
特に人気を集めていたわけです。
そのベンチマークとしてよく見られる。
FTSE NAREIT ALL REITS INDEXは
3年間で▲2.85%となりマイナスとなっています。
またS&PグローバルREIT指数は
同じく3年間で▲7.05%と大きくマイナスです
これらは指数なので信託報酬等のコストは発生しないものです。
つまり販売体制、コスト、高い分配金は問題ではなく
単純にパフォーマンスが悪いのです。
純資産額が減ってきたとはいえ
まだ個人投資家を中心に保有額が多い海外REITファンドです。
銀行の顧客では特に保有額が多くなっていますので
それはプラスにならないよね
ということです。
ここにさらに為替の円高という面も
マイナスに働いてきますので
さらに損失は出やすくなっているはずです。
これは何が悪いのか?
金融機関・営業員の相場観が悪いのです!
世界的な低金利が続いていた中、
不動産市況にはプラスに働くはずという考えや
円安傾向が続くという想定が間違っていたわけです。
(少なくともこの期間においては)
大事なのは銀行・販売員・営業員に
マーケットに対する知識を習得させることではないかと。
手数料もそうですが、
顧客に対してプラスになる商品を販売するというのは
長期保有も大切ですが
儲かる商品を自分で考える力を養うことが重要だと考えています。
そんな内容の動画がこちらです。
コメントを投稿するにはログインしてください。