日産、国内向け全車両の出荷停止 不正検査問題で

日産自動車(7201)問題の続報で、
無資格検査員の報道が出た後も無資格検査員による検査が続けられていたという記事が出てきました。

それはなかなかなんというか。。。
神戸鋼(5406)のニュースとか見なかったんでしょうかね?

いやいやそうではなく
これはガバナンス体制の問題なのです。
あってはいけないことだけど
やってしまったことは仕方ない
この後どう信頼を回復するかというところで!
明らかに問題を軽視しすぎ。



これ、思ったより企業内部の連絡が取れてないんでしょうね。
当然トップからの指示で是正するようになったと思うんですが、
そうならなかった。
工場にはトップの指示が届かなかったと。
大きい会社ってこんなこと結構あるんじゃないかなーと。
トップのメッセージが内側に響いていないっていう。

そんなことを受けて
日産、国内向け全車両の出荷停止(日経)
ということだそうです。

日産自動車(7201)の株価どうなるでしょうか?

神戸製鋼部材改ざん問題

各紙で報じられていますが、日経の記事がこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22038960Y7A001C1TJC000/

神戸製鋼所でアルミ製品の性能データが改善されていたという問題です。
10年近く前から改ざんされており組織ぐるみで不正が行われていたということです。

このアルミ製品に関しては、顧客に対して強度の性能面の虚偽説明をしており
三菱重工業(7011)が開発を行っているMRJ用に納入し他部品で発覚したということですが、
トヨタなど200以上メーカーに納入しているということです。
問題となったのは三重県いなべ市の大安工場で製造したものですが、
国内4工場で不正したことが明らかになっており
ボーイングの飛行機や、JR東海の新幹線用にも納入していたということです。

乗り物への用途が多いですが、
こんなもん、人の命に係わるということがわからないのでしょうか?
安全のためにその規格を満たすように求めているのに、
そこを改ざんされて、
その部材を安全だと思って使用して飛行機や新幹線、自動車が完成して、
知らない間に我々が乗っていると。。。

また、日本の製造業に大きな影を落とすことがなければよいのですが。

こういうことをなくすためには
やはりガバナンスの強化が必要であり、
当然コンプライアンス意識の強化が必要です。

こういう企業が出てくるたびにコンプラ研修しに行くから呼べ!
という気持ちになります。

ちなみに問題発覚後の10月10日の神戸鋼(5406)の株価はストップ安で値が付きませんでした



日産リコール問題

日産自動車で無資格者による検査が行われていた問題で、

台数にして121万台のリコール、費用250億円ということだそうです。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21888100U7A001C1EA2000/

日産はリコール等の対応に関しては優等生という見られ方をしていたこともあり
今回はちょっと初動対応を誤ったとみる動きもあるようです。

一方、この検査は本来国がやるべきことなのに
各メーカーに任せているということもあるため
かわいそうだという見方も一部ではあるようです。

株価的には、問題発覚後に5%ほど下げた後は
やや持ち直した格好です。
初動後社長の会見で軌道修正できたところが良かったということですかね。
今後新たな悪材料が出ないのであればこの辺が買いどころかもしれませんね。



オーストラリア銀行で不祥事相次ぐ

コモンウェルス銀行でマネーロンダリングの疑いが浮上したと
日経新聞が報じています。

2012年の新型ATMで不正が行われているらしいようですが、
1日何回も入金ができ、他行カードだと身元が明らかになりにくいという特徴を
マネーロンダリングに悪用されていたということだそうです。
そして動向は15年半ばまで対策を取らなかったと。

過去コモンウェルス銀行では保険金の不払いやFAの不正なども報告されています。
また、オーストラリアでは日本のメガバンクにあたる4大銀行というものがあるのですが
他のナショナルオーストラリア銀行、オーストラリアニュージーランド銀行ウエストバック銀行でも
不祥事が指摘されており、
金融先進国といわれているオーストラリアでずさんな取引が行われていたことに
衝撃が広がっています。

オーストラリアに投資する投資信託だと、
時価総額の大きいこともあって、
ウエイト上位にこの4大銀行が入っていることが多いので
名前は知っているという方も多いのではないでしょうか?

最近注目されていたLMオーストラリア株ファンドなど
多少影響がありそうなところです。
オーストラリア・オセアニア株のファンドをお持ちの方はご確認ください。

凸版印刷不当労働行為救済申立事件

東京都労働委員会から次のような命令が出ています。
凸版印刷事件命令書交付について

事件のあらましとしては、

凸版印刷に勤めていた社員が

上司にパワハラを受け、不当な異動を命じられたので

「日本労働評議会」という個人で加盟できる労働組合に加入して

団体交渉を求めたのですが、

凸版印刷側は、

この日本労働評議会を労働組合とは認めないとして

相手にしなかったということです。

で、結果として、

1 団体交渉に応じること

2 「二度とこのようなことはしない」と社内に張り出すこと

を命じられたと。

何と言いましょうか、

普段はこういうのを見ると、

「ダメな会社だなー」とか思うわけですが、

これについては、

ダサい!

っていうのが感想です。

この2の命令ですよね。

こんな命令が出されるっていうことは

よほどひどい対応だったということなんでしょう。

どうも凸版印刷側の弁護士が

特殊な説を採用しているようで、

それに則って対応してたら

こうなったということも考えられるのですが、

法務部とかが主体的に考えるべきだし、

法律だってセカンドオピニオンを取り入れるべきだし、

ちょっと情けないのではと。

ヤマト残業代不払いに見る労働基準法遵守の必要性

AmazonをはじめとするEC、ネット通販が流通の中心となりつつあるのは

ご存じのとおりと思います。

そこで大変ニーズが増えている業種が宅配、陸運といった業種です。

ヤマト、佐川などはとんでもない忙しさになっているわけですね。

ただでさえ人手不足の世の中で、

宅配業界は特に人員が足りていないわけです。

そんな中で、残業代不払いの問題が出てきました。

2016年11月にヤマト運輸のに対し、

労基署が是正勧告を行いました。

もともとは、ヤマトの元社員が労基署へ申告したことから発覚したこの事件ですが、

結果的に社内全体の不払い残業代を支払うことになりました。

労働基準法37条、119条によると時間外労働や休日労働の割増賃金の不払いは6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金とされています。

また、37条の規定は114条により、同じ額の付加金の支払いを命じられることができるとされています。

つまり、裁判で争った場合に、裁判官が使用者・会社側に対して

「実際の不払い額の倍払え」

と命じることができるわけです。

まさに「倍返しだ!」

ということですね。

さすがにそんな最悪の事態になる前に、

未払いだった残業代を支払ったわけですが、

本来月々支払えばよかったものを一度に、

しかも不払い過去2年分をさかのぼって支払う必要がありましたので、

業績に対する影響も少なくありませんでした。

実際には17年3月期で過去2年分約190億円を支払っっています。

さらに調査を重ね18年度の第1四半期で40億円の支払いが発生しています。

後になってこういう事態が発生すると

ブラック認定されてしまい、

イメージもよくないですし

いい人材が入ってきません。

さらに一度に多額の費用を計上する必要が出てきてしまい、

決算と見通しが大きくかい離する可能性も出てくるため

注意が必要です。

また、処理しきれない分、契約を切ったり、

値上げ交渉したり、外部に委託したりと

ただでさえ忙しいのに

さらに様々な対応が必要となります。

残業代や休日出勤の取り扱いには十分に注意してください。

出光興産(5019)の合併・公募増資について法律的に考えよう① 合併手続き

出光興産(5019)と昭和シェル(5002)の経営統合に向けた協議が

ずーっと続いているわけですが、

出光の創業者の反対によりなかなか進展しません。

シェルとしても出光の経営者としても

創業家に納得してもらった上で統合したいというところだったわけですが

さすがにもう時間をかけられないという判断です。

 

さて、どうして経営統合が進展しないかという点に対する法律的な答えは

出光の創業者一族が出光の株式を33.92%を保有してるから

ということになります。

 

これがなぜ問題なのかということですね。

これは、合併について吸収合併するのか新設合併なのか

もしくは分割して持株会社化するなど他の方法なのか不明ですが、

吸収合併する例で考えてみましょう。

(どの方法でも同じ壁にぶち当たりますので)

昭和シェル側が存続会社で出光を吸収する場合、

会社法783条で「消滅株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない」と定められています。

この株主総会は会社法309条2項12号で

特別決議による決議が必要だとされています。

特別決議とは、出席株主の議決権の2/3以上が賛成しなければならない決議です。

創業家一族が3/1以上を保有していますので

この吸収合併契約の承認決議は可決されません。

また、逆に出光が昭和シェルを吸収する場合でも

会社法795条で「存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない」と定められており、

この株主総会は「特別決議」と定められていますので(会社法309条2項12号)

この場合も可決されません。

ということで、合併を行うには

創業者に納得してもらうか

無理やり進めるのであれば、

創業者一族の持株比率を引き下げることが必要になります。

ということで、今回出光が公募増資を行い、

創業者一族の持株比率の引き下げに踏み切ったわけですね。

 

そして、公募増資の差し止め請求については次の記事で。