予想外の中国利下げ

[北京 8日 ロイター] 7日の中国の予想外の利下げを受け、週末発表される5月の主要経済指標がかなり悪い内容になることを見据えた動きではとの懸念が広がっている。


今週明らかになったロイター調査では、5月の経済指標は予想外に低調だった4月から安定の兆候を示すと予想されている。ただ一部のエコノミストは、この見方は間違っていたのではないかと疑い始めている。


ロイズ銀行の通貨ストラテジスト、エイドリアン・シュミット氏は「心配されるのは鉱工業生産と消費者物価指数(CPI)で、弱い内容になることを踏まえた動きなのではないか」と述べた。


経済指標は、すでに中国の基準からみると見通しが悪化している。


5月に実施されたロイター調査では、第2・四半期成長率は過去3年で最も低い7.9%と予想されている。成長率の鈍化は6四半期連続となる。


また2012年の成長率は8.2%となる見通し。先進国がうらやむ水準だが、中国にとっては1999年以来の低水準となる。


中国人民銀行(中央銀行)は7日、アジア市場の引け後に1年物貸出金利を25bp引き下げ6.31%に、預金金利も25bp引き下げ3.25%とすることを発表した。


また、商業銀行が設定する預金金利の上限を基準金利の110%、新規融資に対する貸出金利の下限を基準金利の80%とすると発表した。貸出金利の下限は90%だったが、さらに10%ポイントの柔軟性を持たせた。また商業銀行はこれまで、中銀が定める基準金利を上回る水準に預金金利を設定することを禁じられていた。


今週のロイター調査では、5月の固定資産投資と鉱工業生産は、安定の兆候を示すと予想されている。


コンサルタント会社IHSグローバル・インサイトの上席中国アナリスト、Ren Xianfang氏は、利下げ発表前に、「変わらずが最も望ましいわけではないが、悪化よりはましだ」と述べていた。


鉱工業生産は前年比9.9%増で、4月の9.3%増から改善すると予想されている。


1─5月の固定資産投資は前年同期比20.0%増と1─4月の20.2%増を下回り、10年ぶりの低い伸びにとどまる見込み。


<指導部交代をにらんだ動き>


温家宝首相は5月23日、定例閣議で主要投資プロジェクトを加速させることが決まったと明らかにしている。


これまで中国指導部は過度の緩和策には慎重で、成長支援には政策の「微調整」で対応する方針を示していた。


中国は依然、2008年に打ち出した総額4兆元(6350億ドル)の景気刺激策の後遺症に悩まされている。この影響で不動産投機は一気に加速、地方政府の債務は10兆7000億元に膨らみ、インフレ率は3年ぶり高水準に上昇した。


ニューヨークのローゼンブラット・セキュリティーズのマネジングディレクター、ゴードン・シャーロップ氏は「中国は、景気刺激と成長の維持が必要だということを理解している。欧米が今も直面するような問題に陥らないよう、積極的に動くだろう」と述べた。


また中国としては、今年予定されている指導部の交代前に経済成長を強固なものにしたいところ。ただ、社会の安定を脅かしかねない価格の引き上げには慎重だ。


過去に物価高が政治的緊張の原因となった例もあり、薄熙来氏の失脚や同氏をめぐるスキャンダルですでに複雑化した指導部交代を前に、インフレ加速はなんとしても避けたいと考えている。


ロンドンのFXプロのチーフストラテジスト、マイケル・ダークス氏は、利下げはインフレ圧力が弱まっていることへの自信のあらわれと指摘した。


5月のCPI上昇率は3.2%と4月の3.4%から鈍化し、今年の公式目標の4%を十分下回るとみられている。


輸出は4月の4.9%増から6.8%増に拡大する見込み。ただ、年間目標の10%には遠く及ばない。


輸入は4月の0.3%増から5%増になるとみられているが、こちらも目標の10%を大幅に下回る。国内外の需要が依然弱いことが明らかになる見通しだ。

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ちょっと前のニュースなんですが

どうしても触れておきたかったので。

約3年半ぶりの利下げということで、

リーマンショックあたり以来ということですよね。

中国が利下げをするほどギリシャ問題は深刻だということなのか

もしくはいよいよ中国のバブルが崩壊ということなのか

その両方なのか。

中国の生産の構造というのは

高付加価値のものを作ろうともせず、

マーケティングも怠ったため

実は頭打ちになっているのではという話も出ています。

このチープ路線が今の今までは成功を収めていたものの

国民の生活水準が向上するのに合わせ

今までの経済水準では見合わなくなり

また、国策として進めていた

中国ブランドも世界にはなかなか浸透していません。

新興国の成長が世界経済のカギを握る中、

その中心の中国はここで新たな展開を迎えているのでしょう。

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